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ナイフが沙織の手から滑り落ちた。
龍太郎がそれを拾い上げる。
それと同時に沙織の腹部を刺した。
肉を突き破る気持ち悪い感触が手に伝わり、龍太郎は手を離す。
ナイフを腹に刺したまま沙織は倒れた。
「ど…して…
こんな…に…好きなのに…」
沙織はその言葉を最後に動かなくなった。
龍太郎は保健室を飛び出し、玄関を抜けると、一目散に車に向かった。
無用心にもカギをかけていなかったことが幸いした。
カギを外してポケットに入れていたら、沙織に奪われていたかもしれなかったし、バッグに入れていたら、麻美の死体の転がる教室へ行かなければならなかった。
キーを回し、エンジンをかけると猛スピードで山を降り、自宅に駆け込んだ。
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