第9ボタン

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「圭くんの、第2ボタン……?」 お姉ちゃんは目を大きくして呟きながら、首を傾げた。 「忘れちゃったの!?昨日第2ボタンのジンクスを教えてくれたのは、お姉ちゃんじゃん!」 あたしは呆れた表情を作りながら、少し声を荒げて訴えた。 『第2ボタンのジンクス』 その言葉を聞いて、何かを思い出したのか、お姉ちゃんは手を叩いてみせた。 「あ!咲の高校に言い伝えられている第2ボタンの話!?」 「そうだよ。2番目に好きな人の第2ボタンを貰うと、恋が上手くいくってやつ!」 教えてくれたのはお姉ちゃんじゃん、と続けて言うと、今度はお姉ちゃんが呆れた表情を作った。 「……あんた、それを信じて圭くんに第2ボタンくれって迫ったんじゃないでしょうね?」 「……そうだけど。」 だって島谷先輩以外に好きな男の子って言えば、やっぱり圭しか浮かんでこないし。 恋愛対象とかそういうのじゃないけど、圭の事は人として好きだし。 あたしの返事を聞いたお姉ちゃんは、額に手を添えてわざとらしくため息をついた。 「その、二番目に好きな人の第2ボタンって話、まさか圭くんにしてないでしょうね?」 その質問の意図が分からなくて、首をかしげながら答えた。 「……言ってないよ。圭に恋愛相談とか、なんか恥ずかしいし。」 圭とは、漫画の話とかゲームの話とか、くだらない話は腐るほどするけど、恋愛話はあまりしない。 圭の好きな人の話とかも聞いたことないし、あたしもしたことない。 島谷先輩と付き合い出したことだって、なんか恥ずかしくて圭には言えなくて、結局圭は人伝いに付き合いだしたことを知ったんだっけ? 男と女の幼なじみなんて、そんなもんでしょ? そんな目でお姉ちゃんを見つめた。  
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