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「圭くんの、第2ボタン……?」
お姉ちゃんは目を大きくして呟きながら、首を傾げた。
「忘れちゃったの!?昨日第2ボタンのジンクスを教えてくれたのは、お姉ちゃんじゃん!」
あたしは呆れた表情を作りながら、少し声を荒げて訴えた。
『第2ボタンのジンクス』
その言葉を聞いて、何かを思い出したのか、お姉ちゃんは手を叩いてみせた。
「あ!咲の高校に言い伝えられている第2ボタンの話!?」
「そうだよ。2番目に好きな人の第2ボタンを貰うと、恋が上手くいくってやつ!」
教えてくれたのはお姉ちゃんじゃん、と続けて言うと、今度はお姉ちゃんが呆れた表情を作った。
「……あんた、それを信じて圭くんに第2ボタンくれって迫ったんじゃないでしょうね?」
「……そうだけど。」
だって島谷先輩以外に好きな男の子って言えば、やっぱり圭しか浮かんでこないし。
恋愛対象とかそういうのじゃないけど、圭の事は人として好きだし。
あたしの返事を聞いたお姉ちゃんは、額に手を添えてわざとらしくため息をついた。
「その、二番目に好きな人の第2ボタンって話、まさか圭くんにしてないでしょうね?」
その質問の意図が分からなくて、首をかしげながら答えた。
「……言ってないよ。圭に恋愛相談とか、なんか恥ずかしいし。」
圭とは、漫画の話とかゲームの話とか、くだらない話は腐るほどするけど、恋愛話はあまりしない。
圭の好きな人の話とかも聞いたことないし、あたしもしたことない。
島谷先輩と付き合い出したことだって、なんか恥ずかしくて圭には言えなくて、結局圭は人伝いに付き合いだしたことを知ったんだっけ?
男と女の幼なじみなんて、そんなもんでしょ?
そんな目でお姉ちゃんを見つめた。
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