第2ボタン

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卒業生代表の言葉、卒業の唄。 偉い人の言葉。 校歌を全員で歌って、卒業式は、笑い一つ起こることなく終わった。 でも、卒業式の本番がこれから始まる。 在校生のアーケードを抜け、卒業生達が退場していく。 これから卒業生たちは、教室に帰って、クラスの仲間や先生と記念撮影をして別れを惜しむんだ。 残された俺達在校生は、各々自分達のやりたいことをする。 お世話になった先輩に渡す花束を取りに教室に戻る奴。 憧れている先輩の第2ボタンを、誰よりもはやく貰いに行こうと校門の一番いい場所を陣取る奴。 様々だ。 「なっ!圭っ!芳月さん、誰の第2ボタン貰いに行くんかな?なんか知らねぇの?」 俺の肩を小突きながら「噂になってんじゃん?」と言う小林。 芳月咲。 小さくて可愛いとか言われて、学年じゃ結構人気があった。 その女が狙う第2ボタン。 それに注目している奴も結構居た。 「知らねー。」 「なーんだ……つまんねぇ。っていうか、圭、なんでそんな余裕なの?」 「別にー?」 俺は、芳月咲が誰の第2ボタンを狙っているか、知っていた。 だから、こんなに冷静でいられるんだ。 「もっと焦れよ。つまんねぇなー。」 口を尖らせてそう言う小林を無視して、卒業生を見送ってやるために校門へと移動した。  
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