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『二番目に好きな人の第2ボタンを貰うと、恋が上手くいくらしいの。だから、二番目に好きだから第2ボタン頂戴。』
どっかのひねくれた女は、そう嘘をついてその男から第2ボタンを貰ったらしい。
ジンクスも何もかも、その女がでっち上げた嘘で。
「なんでその女、そんな意味わかんねぇ嘘ついたんだよ?」
雪姉の話の途中で、俺は口を挟んだ。
「なんでって、決まってるじゃない?」
「……分かんねぇし。」
分からない?と挑発的な視線を向けてくる雪姉に、正直に分からないことを認めた。
「相変わらず圭くんは、乙女心を全然理解してないのねー。ただその男の子の第2ボタンが欲しかっただけよ。だけど素直に言えなくて、嘘をついただけよ。」
「……なんか、分かりにくい女……。」
二番目っていうのは嘘で、ホントは一番に想っている男の第2ボタンが欲しい。
回りくどい嘘なんかついて、その女は相当ひねくれているらしい。
話の内容は分かった。
そのジンクスがデタラメなことも分かった。
でも、
「だけど、それと咲が何の関係があんの?」
ジンクスが嘘だとか、そんなの俺にとっては大した話じゃない。
そう分かった瞬間、咲の所へ行くという当初の目的を思い出して、また咲の家の方に足を進めようとした。
「きっと、咲は明日、圭くんのボタンを貰いに行くわ。」
俺の足が、ピタリと止まる。
俺の第2ボタンを、咲が貰いにくる。
それは二番目か、一番目か。
「……咲は、その話、知ってんのかよ?」
俺がそう聞けば、雪姉はまた静かに微笑んだ。
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