五月の手紙

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貴方はそう言い、更に強く私を抱き締めました。 そして、一陣の風が吹き、辺りに咲き乱れる桜の花びらをハラハラと舞散らせました。 貴方は卑怯です。 そんな言われ方をされたら、私が断れない事を知っていながら。 そんな言い方をするなんて。 貴方の思惑通り、私は頷いてしまいましたよ、全く。 ただ、誤解しないで下さい。 私は、私を置いていった貴方を恨んでも憎んでもいません。 ただ、この位の愚痴は笑って聞いてください。 寂しさを紛らわせる為のものです。 是非とも甘んじて受けて下さい。 さて、それでは最後に貴方が飛行機に乗る際に私に言った別れの一言を引用し、この手紙を締めさせていただきます。 『また桜咲く季節に』       貴方を想う者より .
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