擬世界(ぎせかい)

3/3
前へ
/27ページ
次へ
無料の占いサイトの広告が私が管理するブログに載っていた。暇な私は登録を簡単にしてしまう。すでにもうひとりの私が生まれて居たのかもしれない。 川下由紗 28歳 などとプロフィールを打ち込み 送信 翌日から出会い系サイトから、メールが届き始めた 私は最初のうちは無視していたが~ 見てみると お金を100万あげますとか、胡散臭いメールばかりが届きます 一日に5件ぐらい来て もううんざりしていて、メール拒否の設定をする間際に 一通のメールが届いた! いつものアドレス出会いを求めてます~お金はありませんが、優しい気持ちはあります へえ、この人はお金で釣らないのか?呼び出して~顔だけでもみたいな 隠れて見て帰ればいいんだし 相手はわたしの携帯アドレスも知らない訳だし。「私も貴方に興味を持ちました」 送信を押した時には、ワクワク感を久しぶりに感じました。 待ち合わせ場所にそれらしき人影は見えず、もしかしたら向こうも品定めしていたりして。 なんか、あほらしいから帰ろうかな「あれ!下川君の奥様じゃないですか?」 「あら、主人がお世話になってます」 「いや、偶然ですね」 「ちょっと用事がありまして。これから買い物して帰ろうかなと思いまして」 「そうでしたか?私は待ち合わせだったのですが、相手がまだ来ないので。どうやらキャンセルみたいです」 「それは大変でしたね」 「では失礼します」と彼は歩き去った 私も歩き始めたが~ドキドキしていた 旦那の上司が手にしていた週刊誌は、私達が取り決めた目印そのものだった。 ふと、これから彼上里が何処に行くのかが気になった。出会いのサイトを利用する人は、掛け持ちするらしいと聞いた事があったからだ。旦那が 「上里は仕事は出来るが、女にはだらしがないと噂がある」 と言っていたっけ。 10分ぐらい歩いた所にある喫茶店に入って行った そこには、まだ二十歳前だろうと思われる少女が居た「あのスケベ上司!あんな若い子に…これって犯罪?だよね」 外に出てきた この際、尾行開始! あらら、昼間からホテル街 こちらが恥ずかしい でも、なにげにカップルが多い オフィスラブって言ったっけ? あ、写メを撮らないっとね なんか、私立探偵みたい! 少々の罪悪感はあるけど めったにないワクワク感が勝ってる さて、帰ろうっと。 この時、私は子供遊び感覚で~事の重大さに気がついてなかった
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加