擬世界Ⅱ

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「おはよう~」 「おはよう……って朝帰りな娘さん」 「は?お母さん?私の帰宅時間判って言ってます?私は11時前に帰ったら、鍵が締まっていて家は真っ暗よ。兄貴に携帯したら家に居て、開けてくれたから良かったけどね」 「あら、それは失礼しました」 「おはよう」 「おはよう!おにいちゃん、夜は開けてくれてサンキュー!」 「おう、お母さんも疲れて寝ちゃう時もあるさ」 「でもさ、朝帰りは…」 「さあ、ご飯にしょうか?ふたりの今日の予定は?」 「バイト」 「俺は彼女と会ってくる」 「会うって?彼女って?」 「昨日の夜に話したろう2週間前に助けた子」 あっ!思い出した!喫茶店で上里に会っていた若い子は、あの時に息子と助けた子だったのだ。見覚えがあるはずだわ 「会いたいって?と言う前にあなたはいつ?アドレスを教えたの?」 「お母さんがその子に…困った事があったら、メールしてと~俺にアドを教えてあげたらって?そう仕向けた本人が聞く?」 その時、熱い視線を感じた 視線の元は娘だった うかつにも、この時点で彼女の存在を忘れていた 忘れてはいけなかった この子の性格は私にそっくりなのだ その上、ブレーキがなく、正義感がアクセルを踏み込んでスピード全開 私は娘の顔を見たなにか考えている目。 「あなたねえ~良からぬ…」 「ねえ、おにいちゃん、何時頃にその娘と会うの?」 「多分、夕方だろうメールするって言ってたから」 「行っていい?私も」 「あなたはバイトでしょう」 「バイトより面白そう」 「面白いって…。おにいちゃんがあなたを連れていくわけ~」 「別にかまわないよ。相手も同性の方が話しやすいかもしれないし」 「さすが、おにいちゃん、お母さんより理解あるわ」 そうなんだ。この息子は妹の本質を知ってない。いや知らな過ぎる
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