第1話“私立風神学園”(1)

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「はぁ、はぁ」 4月の始め、まだ入学式から2日たっただけなのに私は学校に遅刻しそうになっている。 私は五十嵐 仮羅那。      (からな) 変わった名前なので、 小中学校ではいろんな意味で 有名だった。 走っているうちに学校の校門が見えてきた。 この横断歩道を渡ればぎりぎり間に合う。 そう思っていた、 からなだったが 横断歩道の手前まできたころだった。 パッパッパッパ からな 「げっ!!」 最悪だ。 横断歩道の真横に 取り付けてあった信号の色が 青から赤へと変わった。 からな 「も~!!!」 信号の足止めを足踏みを しながら待っているが 変わらない。 さすがにこれ以上待つと完全に遅刻しそうだ。 からなは少し焦りながら校門の近くに設置してある時計を見た。 “8時28分。” このままでは本当に完全遅刻だ。 困っていたからなの後方から誰かが走ってきた。 走ってきたのは男子と女子の二人組でからなと同じ学校の制服を着ていた。 走ってきた女の子は からなを見て 女の子 「あっ」 と言って、 少し思い出した顔をしてから ニコッと微笑みながら挨拶をしてくれた。 女の子 「おはようございます。 えっと…、五十嵐さん」 からなもその女の子の顔を見て思い出した。 からな 「えっと・・・かまださんだったっけ? おはよう!」 その言葉を聞いて女の子は 丁寧に答えた。 女の子 「あ、キュールでいいですよ」 そういえば、 この女の子は 同じクラスだったが入学式で、 会った時からこんな丁寧な 喋り方だった気がする。 少し遅れて男子も追いついてきた。 男子 「はぁ、はぁ、キュール…速いって」 男子は全速力で走ったのだろう。 かなり疲れている様子だ…。 キュール 「も~う!刃くん遅いよ!」 少し膨れっ面のキュールが 男子に言った。 からなはまた思い出した。 たしか、 この男子も同じクラスだった気がする。 そんな事を考えていると 信号の色が赤から青に変わった。 その瞬間、三人は校門を目掛け走りだした。
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