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今夜は一体どういう奇跡が働いたというのか、こんな偶然があるなんてと、驚愕の余韻を引きずる隆之は家路を行きながら、兄の顔を思い出していた。
想像していたのより、映像で目にしたのより普通の、何処にでもいそうな類いの人間だった。
……あんな普通の人が、自らの能力に翻弄され、傷付き、そして、人を手にかけ……父や、母までも殺したのか……。
……純粋そうな人に見えた。笑顔が優しそうで、紅葉……娘を大事にする。そんな、何処にでもいそうな、マイホームパパという感じだ。
隆之にはその事実がそれなりにショックで、茫然自失状態で自宅に着くなり部屋に入り込むと、そのままベッドに潜り眠ってしまったのだった。
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