第二章・―再会―

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 ――突然部屋からいなくなり、もしや自分を恨む悪い輩に誘拐でもされたのかと、心配していた矢先に娘が帰ってきた。  暖かい明かりの点る部屋に、紅葉を抱えながら入ると、いつも深く安堵する。  ……そして、同時にどうしようもない罪悪感も沸き上がる。今まで自分が生き残るために、関係ない、もしかしたら罪もない人達の命を手にかけてきた。  そんな自分が、いくら贖罪を重ねて生きているとはいえ、こんなにも幸せでいて良いのだろうかという、罪悪感。 「隆、紅葉いたの?」 「……」 「隆?」 「……え? あ、あぁ。いたよ。自分で帰ってきた」  考え込んでいて楓の声に気付くのが遅れた。
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