第二章・―再会―

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 慌てて答えると、楓が歩み寄ってきて苦笑する。  肩までの黒いストレートヘアに、エメラルドグリーンのセーターと、黒いスカートを履いた楓は、隆の顔を覗き込んで続けた。 「どうしたの? 大丈夫?」 「……大丈夫だよ。心配性だな、楓は」 「パパ、大丈夫?」  笑みを浮かべながらも、過保護過ぎるその気持ちに、変わらぬ愛に感謝しつつもちょっと反抗してみる。  するとしっかりと自分に抱き付いた紅葉が、母親の言葉を真似して更にしがみついてきた。 「紅葉まで……。俺ってそんなに頼りないか?」 「そんな事ないよねー」 「ねー」  楓が紅葉の頬を軽くつつくと、笑みを浮かべ合っている。  母親と子供が、二人でじゃれる様は見ていて実に微笑ましい。
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