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しかし、ここはなんなのだろうか?
まったく知らない場所であることだけでなく、今は夕方なのにもかかわらず、ここは真昼のように、雲ひとつない空が見えることが、さらに俺たちを驚かせた。
そんなことを考えていた俺は、少しだけ頬を撫でる風に気付いた。多少の風なら、気にするにいたらないだろうが、それは少しずつ強くなっていく。
しかも、その風には、何かとてつもなく温かく寂しいモノを感じた。
その感覚は、なんとなくだけど……。
「しかし、こんな場所があるなんてな」
梨香はビックリした様子で辺りを探索している。俺は段々と強くなる風の出所を探した。
……とその時だった。
一瞬だけ、突風が吹いたように、辺りの木を強く揺らした。そして空から何かが降りてきた。俺たちがそれを確認できるまでは一瞬、そして降りてきた者が何なのかわかった。
「女の子!?」
不思議な空気(あたりがモヤモヤするような)に包まれた女の子はゆっくりと地上に足を着けた。俺たちは何も言えず、ただ、女の子の姿を見つめるだけだった。
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