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すると、ふいに後ろから声が聞こえた。
「相変わらず、幸せそうだぬ」
俺はビックリして振り返った。俺と今井奈々のやり取りを、ニヤニヤと笑いながら見ていたのだろう人物が、いきなり話しかけてきたのだ。
「なんだよ。笑うなよ、夏樹」
「いいじゃねぇか、アゲハ。大好きな奈々ちゃんと喋れたんだから」
「てめ、夏樹! 誰かに聞かれたらどうすんだよ!?」
そう、この俺、中原アゲハ(なかはらあげは)は、今井奈々(いまいなな)さんが好きだ。とても好きだ。先ほどのやり取りすら、やっと出来るようになったくらいだ。
そのことを知っているのは、俺と、目の前の俺の親友、多田夏樹(ただなつき)だけ。
「いいじゃねぇか。減るもんじゃないし」
「減らないけど、恥ずかしいだろう!」
まったく……お調子者め……。
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