始の章~学校

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それからは、授業が始まっても無視して由衣の案内は続いていた。むしろ、俺が作為をもって行なっていた。 「こっちは家庭科室だ」 「かていか? ってなんだ?」 人徳無害。恐らくは、全然知らない言葉のようだ。彼女は小首を傾げている。 俺が思うに、学校に通ったことのない由衣からしたら当たり前か……。 「やればわかると思うよ」 「うむ。楽しみが増えた気がする」 彼女は本当に楽しそうに笑う。 俺はそれをただ見ている。 「やれやれ。またサボりかい?」 と、突然後ろから、聞き覚えのある声が聞こえてきた。 俺達は同時に振り返る。
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