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「アゲハ、大丈夫だ」
「由衣……」
そうだった――
今は俺一人じゃないんだ。この部は、俺一人の部じゃない。由衣の部でもあるじゃないか。
今まで彼女は学校に通えなかったんだ。だから通わせたいと思った。
だから“普通の”学校生活を過ごしてほしい。
「由衣。俺、決めた。部活の名前」
「ん、なんだ?」
「エンゼル部。天使が人を幸せにするような部活」
と、言った所で由衣は辛そうに瞳を潤ませた。
俺はまずったと思い、急いで弁解を色々としたが、由衣は何度もこう返してくるだけだった。
「妾は天使ではない……」
『天使』というワードは由衣の前では禁句なんだと思った。
それから必死に涙を止めるように努めた。いつもの由衣に戻るのに十分弱かかったがなんとか泣き止んでくれた。
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