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月明かりが眩しい真夜中…そこに私はいた。
「やめて…やめてくれ…殺さないでくれ!!」
目の前の男は涙目で必至に助けてと懇願する…しかし私は決して許さない。
「殺さないでくれ?寝ぼけたこと言わないで…貴方たちのおかげで私はこんな体になった……貴方たちの軽はずみな実験で…」
そこで私は言葉を区切る。どんなに言葉を並べても元の私は帰って来ないから…なら、今やるべき事は……
「貴方は死んでもらう…貴方達が作った私の能力で」
「ひっ…やめろ……」
男は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔で必至に懇願する…しかし私は許さない。
いつのまにか私の回りに赤い槍が浮かんでいた。理論上ありえない光景、しかもこの槍は私の血。これも普通はありえない。
「ふふ…あはは…」
ふと男は笑い出す。
「何がおかしいの?」
「私や…あのプロジェクトに参加した人を殺しても、貴様の存在は変わりはしない」
そう言い、笑いながらこちらを向く。その顔は死ぬ事を受け入れている。
そして最後の言葉が紡がれる…
「この吸血鬼が」
それがこの男の最後の言葉。想像どうり私が殺した。
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