序章

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「え~と……隣のクラスの柳田くんだよね。私に用事って何かな?」 そう言って微笑むマイエンジェルこと夏木美代。 この微笑みを独り占めできているだけでも、呼び出した甲斐があるというものだ。 ここは学校から歩いて数分のところにある自然公園。 「急に呼び出してごめんね。今日はちょっと夏木さんに話したいことがあって」 緊張のせいで言葉がスラスラと出てこない。口の中が渇いてくるのを感じる。 この時点で俺の頭の中は真っ白。計画?シュミレーション?無駄だった。 「ごめんね。忙しかったでしょ?」 「そんなことないよ。今日は特に用事も無かったし」 当たり障りのないセリフで自然な空気を演出。 よくよく考えると夏木さんとまともに会話するのはこの時が初めてである。そんなんでよく告白する気になったな俺。
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