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僕は急いで家に入る。ヒナちゃんは椅子に座っていた。
一人俯き座るヒナちゃんの足に僕は顔をつける。
雛「りょう…散歩は?」
『今はヒナちゃんの傍におる。』
ヒナちゃんは僕を抱き上げて膝に乗せてくれた。
雛「重くなったな~」
ヒナちゃんはめったに僕を抱き上げてくれない。
久しぶりやった。
僕は立ち上がり、ヒナちゃんの顔をペロペロする。
雛「ありがとう、りょう」
いつもは嫌がるのに…ヒナちゃんは僕の頭を撫でてくれた。
きみたんは戻ってこない…
何しとるんや!!
僕が玄関を見ているとヒナちゃんは言った。
雛「きっとすばる達と遊びに行ったんよ。都合が悪くなるといつもそうや…」
きみたん…逃げたな…
雛「あいつはほんまに俺のこと好きなんかな…」
『好きや!好きに決まっとるやろ!ただ…忘れっぽいだけや!』
雛「なんか一生懸命言ってくれてるな。俺の言葉が分かるみたいやな~。」
『分かるよ。僕は分かるんや!』
ヒナちゃんは哀しげに笑いながら僕を見つめた。
雛「何も今日、言わなくてもええのにな…」
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