10年目の約束

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僕は急いで家に入る。ヒナちゃんは椅子に座っていた。 一人俯き座るヒナちゃんの足に僕は顔をつける。 雛「りょう…散歩は?」 『今はヒナちゃんの傍におる。』 ヒナちゃんは僕を抱き上げて膝に乗せてくれた。 雛「重くなったな~」 ヒナちゃんはめったに僕を抱き上げてくれない。 久しぶりやった。 僕は立ち上がり、ヒナちゃんの顔をペロペロする。 雛「ありがとう、りょう」 いつもは嫌がるのに…ヒナちゃんは僕の頭を撫でてくれた。 きみたんは戻ってこない… 何しとるんや!! 僕が玄関を見ているとヒナちゃんは言った。 雛「きっとすばる達と遊びに行ったんよ。都合が悪くなるといつもそうや…」 きみたん…逃げたな… 雛「あいつはほんまに俺のこと好きなんかな…」 『好きや!好きに決まっとるやろ!ただ…忘れっぽいだけや!』 雛「なんか一生懸命言ってくれてるな。俺の言葉が分かるみたいやな~。」 『分かるよ。僕は分かるんや!』 ヒナちゃんは哀しげに笑いながら僕を見つめた。 雛「何も今日、言わなくてもええのにな…」
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