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僕は思わず顔としっぽを疼くめる。
ごめんなさい…なぐらんといて…
すると…また変な布切れに覆いかぶされた。
『ひゃ~!なんや~!!』
「たくぅ~!!」
そう言いながらにーさんは布切れでぐるんぐるん僕をなで回したが…僕は殴られなかった。
体はさっきよりも軽くなって…ぶるぶるしてもお水は出てこなかった。
「これで大丈夫や」
そして、笑って僕を撫でてくれた。
「気を付けて帰れや」
そう言うとにーさんはまた歩きだす
てくてく…
テクテク…
またまた止まって振り返った。
「あのな~。はよ、帰れや」
『帰る場所なんてあらへんのや~』
僕は昨日、ご主人様に川に落とされた。
バイバイ…
そう言って僕を川に投げたんだ。
必死に泳いだけど…気付いたら知らない場所にいて…帰れなくなった。例え帰れてももう戻れない。
“バイバイ…”その言葉はお別れの時に使うんだって僕は知っていた。
『お願い…僕の新しいご主人様になって~』
一目見てにーさんを気に入ったんや!お願いや~。
「そんな目でみるなよ~」
にーさんは困ったように顔をしかめて僕を見た。
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