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お願いや~。
「ハァ~、お前名前あるのか?」
そう言ってにーさんは再び僕を持ち上げた。
そして、また首の周りをいじくり回す。
『だから~僕、りょうちゃん!』
「しかし、きったない首輪やな~。まだ子犬なのに…」
なんかぶつぶつ言いながら僕の話を聞いてくれない。
「仕方ないな~」
そのまま僕を抱えて歩きだした。
『にーさんのお名前は?』
「家に着いたらあんまりなくなよ。ただでさえヒナは犬嫌いなんだから~」
ヒナ…?
さっきから何度か聞いた言葉。それより僕の質問答えてや~。
しばらくすると大きな家の前に着いた。同じようなドアがずらっと並んでいる。
その中の一つのドアを開けて
「ヒナ、ただいま~」
また、ヒナや…
僕を抱えたまま中に入る。中には一人の男の人がいて…
「お帰り……なんやそれ!!」
僕を見て騒ぎだした。
『初めまして!僕、りょうちゃん!』
「犬や!」
『りょうちゃんやて~』
「んなもん見れば分かるわぁ!その犬をどないしたか聞いとるんや!」
「拾ったんや」
「うちは動物愛護センターやないわぁ!」
「しゃーないやろ。着いてきたんやから…」
「着いてくるもんはなんでも拾ってくるのか!」
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