始まる時

2/5
243人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
雨の音がする。 今日は雨が降ってる。 しかも結構強い。 蓑を着ているとは言え、やはり痛いものだ。 あたしはある邸の戸を叩く。 〔ゴンゴン〕 …しばらくすると中からあたしと同じ歳くらいの男の子が出てきた。 「えっと…何か用件があるのでしょうか?」 この男の子あんまし敬語使い慣れてないな…。 しかし、雨の中出てきてくれたのだ。 あたしは男の子の質問に答える。 「此処の家主と御話がしたいのですが…構いませんか?」 男の子は少し考える様子を見せるが、自分の肩を見るとすぐに笑顔になって、 「解りました。 少々御待ちください」 男の子は玄関まで走っていった。 …それにしても…… 「今の男の子…」 言葉の一つ一つが、何だか心強かった…。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!