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「つまり、松蔭の生徒をターゲットにしているってことですね?」
和臣は表情を曇らせながら、体育教官に尋ねると『そうだ。』の一言が返ってきた。
(俺のせいだ。俺が・・・。)
自分の勝手な行動のために、関係ない人たちまでが巻き込まれている。
和臣が沈んでいると、隣では麻衣が鼻で笑いながら新庄に告げた。
「どちらにせよ、親衛隊にとっては誰がジュリエットなんて関係ないのよ。ただ、大好きな律様が特定の人と付き合うことに対して許せないから、勝手に騒いでいるだけよ。」
確かに麻衣の言うとおりだ。
彼女達にとって、ジュリエットがどこの誰かなんて関係ない。
ただ、自分たちが納得できる人間なら、それだけで十分なのだ。
その場にいた全員が悩んでいると、下校途中の生徒達がじろじろと見ている視線に気が付いた。
「とりあえず、今日は解散しましょう。先生、明日からは時間の空いている教員達で警戒しましょう。」
「そうですな。」
新庄の提案に、体育教官が同意する。
二人は『気を付けて帰りなさい。』と和臣たちに告げて、その場から去って行った。
きっと、緊急の職員会議でも開いて、今回の問題について対策を練るのだろう。
結局は学校にも迷惑をかけている。
(どうしてこんなことが!)
顔を俯かせている和臣を見て、理人と透は心配そうな表情で励ました。
しかし、麻衣は違っていた。
「ねえ、二人とも。空き教室からあたしと春日の荷物を取ってきてくれない?」
「いいけど?何で?」
透がきょとんとした表情で麻衣に尋ねる。
すると麻衣は呆れながらも答えた。
「怪我人に体力使わせる気?それと、元副会長同士で一緒に帰りたいから、よろしく。」
「・・・判った。」
納得したのか。
あるいは、麻衣に逆らうのが怖かったのか。
理人は透と一緒に校舎へと戻って行く。
そして二人きりになったところで、麻衣が爆弾発言を和臣にぶつけたのである。
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