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「春日が嫌なら黙っている。でも、胸を張って堂々としていたら?」
「・・・ありがとう。甘粕。」
「一層のこと、親衛隊に宣言したらもっと面白いのに。」
(前言撤回。)
余計な一言を言わなければ、綺麗に終わったものの。
多分、彼女なりの照れ隠しなのだろう。
それでも和臣にとってはカチンと来た、照れ隠しだった。
しばらくして、元生徒会メンバー全員が二人の荷物を持って姿を現した。
そして今日は全員で帰ろうということになり、駅までわいわいと騒ぎながら向かった。
電車組は和臣を含めて三人。
ただし、上りは理香と理人で、下りが和臣である。
改札を入り、中で別れると和臣はエレベーターを使って、ホームへと降りた。
さすがに松葉杖で階段を降りる気が沸かないからだ。
エレベーターでホームに出て、電車を待つ。
その時だった。
ポンッと肩を叩かれたのだ。
(誰だ?)
そう思い、和臣はゆっくりと後ろを振り返ってみた。
「よう!カズ」
「律!」
なんと、律だったのだ。
ちなみに、律の住んでいるマンションの最寄駅は松蔭の最寄駅の一駅先である。
だから、下りのホームにいるのは不思議なのだ。
不思議というより、学校に戻るのを前提として。
普通に制服姿の律を見て、和臣は驚きながらも尋ねた。
「何でお前が?」
「いや。帰ろうとしたら丁度カズの姿を見かけたから、つい電車から降りてこっちに向かったんだ。」
「そうなのか・・・。」
「これからどう?俺の部屋に行くか?」
「・・・いたずらするから嫌だ。それに、今日は病院に行くんだよ。」
「今日だっけ?ギプスが外れるの。」
「違うよ。様子を見て、外す日を決めるんだよ。」
病院を理由に、和臣は律の誘いを丁重に断った。
すると律は『残念。』と言いながら、和臣の荷物を持ったのである。
「律?」
「なら、自宅まで送らせて。いいだろ?」
「ああ。」
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