ジュリエットは誰だ!

7/10
前へ
/93ページ
次へ
 断る理由もなく、和臣は律の好意に甘えることにした。  普段も律は和臣には優しいのだが、時々鬱陶しく思えてしまうのだ。 (俺は男なんだから!女じゃねえ!)  思っていても、口には出せない。  いや、口に出しても決まって言われるのが、『俺がカズにそうしたいだけだ。』という返答。  どうやら律は好きな子は大事にしたいタイプらしい。  嬉しいような、ありがた迷惑のような、複雑な心境だ。  それでも邪険にしないのは、和臣も律を好きだから。  考え込んでいると、電車が到着した。  律は和臣に合わして電車に乗ると、同時にドアが閉まった。  ドアが閉まり、電車が動き出す。  邪魔にならないような場所で立っていた和臣は、先程の正門での出来事を律に話した。  すると律は驚いた顔で、和臣に聞き返したのだ。 「親衛隊?まだ存続してたんだ。」 「存続って・・・。お前、知っているのか?」 「ああ。翠嵐の女子が結成しているのとは別に、他校の女子が結成しているのを、クラスの奴から聞いたことがある。」 「・・・・。」  呆れてしまい、絶句する。  すると律が頭を掻きながら言い難そうに言葉を続けた。 「あんまりカズに話したくないんだけど・・・。」 「?」 「他校の親衛隊の隊長の岩国早百合だったかな?付き合ったことがあるんだ。」 「・・・マジ?」 「マジです。カズと知り合う前に。一ヶ月で終わったけどな。」  そう言って、律は苦笑した。  笑ってごまかせると思ったのだろうか?  苦笑している律の口から出た爆弾発言に、和臣は驚きと同時にイラッとし始めた。  和臣と付き合う前の律は、女関係にだらしなかったのは知っている。  知っていながらも、ムカムカしているのは、嫉妬からだ。
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

844人が本棚に入れています
本棚に追加