ジュリエットは誰だ!

8/10
前へ
/93ページ
次へ
(何で俺が嫉妬をせねばならない!本当に腹が立つ!)  律よりも、自分の感情の起伏さが激しいことに苛立ちを覚えながらも、和臣は平静を装いながら律に尋ねた。 「で?一ヶ月で終わった理由は?」 「多分、カズも会っているのなら判ると思うけど・・・。」 (ああ。納得・・・。)  先程の騒ぎを思い出しながら、和臣は苦笑をした。  早百合はわがままで感情の起伏が激しい。  更には自分が一番!というタイプなので、律にとっては勘弁して欲しいタイプだ。  和臣もワガママな方だが、きっと律にとっては『可愛い』と思える分類に入っているのだろう。  彼に関しては。 「メールも何十件以上も来て面倒だったし大変だった。今思い出しても疲れが出るよ。」 「なんとなく、判る気がする・・・。」  再度、苦笑をする。  律も思っていた以上にマメではないのだ。  和臣ですら、律の立場になった時にそういう目に合えば、うんざりする。 「だから勘弁して欲しいって別れた。」 「納得・・・。」 「別れた後もしつこく付きまとわれていたけど、麗子が取り巻きたちを使って蹴散らせてくれたからな。以来、会っていない。」 (あの問題児も、役に立つこともあったんだ。)  一応、和臣も被害者ではあるが、この時ばかりは心の中で感謝をした。  話していると、和臣が下車する駅に到着した。  不便な和臣をサポートしながらも、一緒に電車から降りるとエレベーターへと向かった。  ここ数年。  ここ数年、鉄道会社は様々な部分で駅校舎の改装を始めている。  おかげで松葉杖でもエレベーターやエスカレーターといった文明の利器の活躍で大変楽に電車が乗れる。  エレベーターで改札に行き、出た後もエレベーターを使う。  普通だったら階段を有効活用するのでが、今の状態では難しい。  
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

844人が本棚に入れています
本棚に追加