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(何で俺が嫉妬をせねばならない!本当に腹が立つ!)
律よりも、自分の感情の起伏さが激しいことに苛立ちを覚えながらも、和臣は平静を装いながら律に尋ねた。
「で?一ヶ月で終わった理由は?」
「多分、カズも会っているのなら判ると思うけど・・・。」
(ああ。納得・・・。)
先程の騒ぎを思い出しながら、和臣は苦笑をした。
早百合はわがままで感情の起伏が激しい。
更には自分が一番!というタイプなので、律にとっては勘弁して欲しいタイプだ。
和臣もワガママな方だが、きっと律にとっては『可愛い』と思える分類に入っているのだろう。
彼に関しては。
「メールも何十件以上も来て面倒だったし大変だった。今思い出しても疲れが出るよ。」
「なんとなく、判る気がする・・・。」
再度、苦笑をする。
律も思っていた以上にマメではないのだ。
和臣ですら、律の立場になった時にそういう目に合えば、うんざりする。
「だから勘弁して欲しいって別れた。」
「納得・・・。」
「別れた後もしつこく付きまとわれていたけど、麗子が取り巻きたちを使って蹴散らせてくれたからな。以来、会っていない。」
(あの問題児も、役に立つこともあったんだ。)
一応、和臣も被害者ではあるが、この時ばかりは心の中で感謝をした。
話していると、和臣が下車する駅に到着した。
不便な和臣をサポートしながらも、一緒に電車から降りるとエレベーターへと向かった。
ここ数年。
ここ数年、鉄道会社は様々な部分で駅校舎の改装を始めている。
おかげで松葉杖でもエレベーターやエスカレーターといった文明の利器の活躍で大変楽に電車が乗れる。
エレベーターで改札に行き、出た後もエレベーターを使う。
普通だったら階段を有効活用するのでが、今の状態では難しい。
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