ジュリエットは誰だ!

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 翌日、正門の前では体育教官が立っていた。  多分、昨日の職員会議で対応策として、正門に教員を配置させて、トラブルが起きないように対処をしたのだろう。  新庄から聞いた話によると、聖アントワーヌ女学院の理事長からお詫びが来たらしく、早百合は謹慎処分を受けたらしい。  当然の報いだと、旧生徒会役員(彰文は不在)が同じことを思ったのはい、言うまでもない。  しかし、早百合が謹慎を受けたとしても、問題は解決しないだろう。  現に教師が正門に立って警戒をしても、駅前では親衛隊らしき女子生徒が待ち伏せをしているらしい。  当然、駅を利用している住民や商売をしている人たちから苦情が殺到し、警察沙汰にまでなったと希から話を聞いてゾッとした。 (律の奴、本当に大丈夫か?)  彼女達に和臣と律の関係を公表すれば、問題は済むだろう。  だが、その後は?  問題が大事になり、二人にも問題が飛び火したら、同じ大学に進学するのが出来なくなりそうで、複雑な心境だった。 (俺は何を気にしているんだろう。律が好きなのに・・・。)  周囲から白い目で見られるのが怖いのか。  あるいは、自分自身が嫌なのか。  どちらにせよ、和臣は自分達の恋愛が正しいとは思っていないと、無意識に思っているらしい。  昔よりは同性の恋愛に対して、緩和しているだろう。  自分達はいい。  だが周囲は?  家族や友達が変な風に見られるのでは? (結局は、俺がこだわっているだけなんだ。)  不意に切なくなる。  好きなのに、外では手を繋げない。  公の場でキスやハグも出来ない。  もし、和臣が女だったらこんな苦労はしないのだろう。  小さなわだかまりが、変な問題が起きる度に大きくなっていく。  律の元カノや、ジュリエット、そして今。  彼を好きになってから、和臣は本来の自分にあった勢いを無くしかけている。 (どうしたらいいんだろう。どうしたら・・・。)  和臣の心は複雑だった。  こうして、四月が終わり五月に突入しようとしていた。 
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