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彼が今はまっているのは、モバイルゲームで常にトップクラスにいないと、ランクが下がってしまうシステムになっている。
ただでさえ、凝り性な亮輔は時間が空くと決まって携帯ゲームに熱中しているのだ。
ゲームをしながら、亮輔は更に怖いことを言った。
「まあ、春日は自覚はないが、結構もてるからな。気を付けろよ?律」
「・・・・・。」
痛いところを突かれた。
確かに、和臣はもてる。
一緒に遊んでいる時、律がトイレで離れて、戻ってみると同性の男にナンパをされている。
その度に『何か用?』とにらみを利かせてガンを飛ばして撃退しているが、和臣は『話し掛けられただけだろが!』と怒る。
本人が全く自覚がないというのが、一番厄介である。
松蔭と翠嵐の生徒からは『松蔭の魔王』と称されて、亮輔の存在が見えるからと、一部からは恐れられているのだが、気が気じゃないのは確かだ。
(俺はいつから嫉妬深くなったんだろう・・・。)
恋愛に対しては冷めていると思っていたのに。
和臣と出会ったことで、色々と気付いたり、学んだりする。
(これが運命の人なのか?)
和臣にそういうと必ず赤面して『よく、恥ずかしいセリフを言えるよな!』と鉄拳を食らうだろう。
それぐらい、ベタ惚れなのだと、自覚する。
「ああ!いいところまで進んだのに!!」
モバイルゲームでクリア寸前で終了したのか、亮輔が珍しく苛立っている。
そんな彼を無視して、律は和臣を思っているのだった。
「はっくしょん!」
「どうした?春日?」
その頃、和臣は職員室で新庄の手伝いをしていた。
足も少しずつ完治しており、来月にはギプスが外れる。
その前に、新庄はどうしても片付けたい資料の整理を、怪我人である和臣にお願いしているのだ。
(鬼かよ!)
心の中で文句を呟く。
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