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様々なことがあり、しばらくは律とのデートがお預けになった和臣は、仕方なく生徒会の引継ぎを開始することにした。
ある程度のことは麻衣たちから話は聞いている。
(後は学校行事や三年毎の合同祭とかの説明か・・・。)
自分でまとめたノートを見ながら、和臣はふと思い出していた。
先月、職員室で会った生徒会長の晃司。
何となくだが、和臣にとっては苦手なタイプだ。
亮輔とは違う、俺様気質。
いや、裏の面を持ってそうな雰囲気がある。
(結城の場合は表に出し過ぎだけどな。)
和臣も自分のことは言えない。
中学時代、優等生と暴れん坊の二面性を持っていたのだから。
不安は多少あるものの、仕方ないと思いながら、和臣は生徒会室に入っていったのである。
中に入ると、晃司を含めて新生徒会役員全員が揃っていた。
その光景を見て、和臣は心の中で思ったことがある。
(この光景を、彰文に見せてやりたい!)
和臣、心の叫びである。
心の中で感涙しながらも、和臣は引継ぎを開始した。
書記・会計に関しては引継ぎというよりは、計算や書類のチェック。
副会長と会長に関しては、提出した書類の確認と顧問との打ち合わせ。
そして年間行事やそれに関する周辺への挨拶といった注意点。
晃司や他の役員に説明していた和臣は、最初は猫を被って『良い先輩』として演じていた。
だが、それは三日も保てなかった。
「何で簡単な計算が出来ない!一からやり直し!」
「はい!」
「何だ?この議事録は!要点がまとまってない!速攻で書き直せ!」
「はい!」
温厚な人柄から、鬼軍曹へと化していく。
役員達は半泣きになりながら和臣の指示で動いては、書類や資料作成をしている。
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