必要のない感情だったのに

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  ブリング、あなたは最低です。 イノベイターである我々が、負けるわけにはいかないのに。 やられるなんてあってはいけないのに。 「あなたはっ、最低、です…っ!!」 どうして、死んだりするんですか。 「最低です、最低です、最低です……最低、だ!!」 頬に温かいものが伝う。 これが、涙……。 これが、悲しいということなのか。 イノベイターである僕には必要のない、人間のような感情。 本当に最低なのは、こんな気持ちを持ってしまった自分。 悲しいとか、寂しい、なんて。 でも。 「あなたがいなかったら、僕は…私、は…」 どうしたらいいんですか。 「寂しい、です…ブリング、…寂しい、悲しい…っ」 こんな感情、欲しくはなかった。 いらなかった。 必要なかった。 ああ本当に、 必要のない感情だったのに。 -fin-
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