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そんなことを考えているうちに、救急車がサイレンをけたたましく鳴らせて、到着した。
きっと周りにいた通行人の誰かが連絡してくれたのだろう。
救急車から何人かのひとがばたばたと下りてきて、担架にわたしの身体を乗せる。
みんな一生懸命にわたしの命を救おうとしていた。
誰もがわたしの身体に夢中で、わたし自身には目もくれなかった。
たぶん、いまの状態のわたし
―――魂だけのわたしは、他のひとから見えていないのだ。
わたしはそれをまるでひとごとみたいに黙って見送った。
なんだか申し訳ない気持ちになった。
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