第一夜

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女性は、生い茂る木々の中でも、昔から誰かが森を通る為に使っていたのであろう、ある程度開けた場所を選んで散歩しており、彼女が立っている辺りには木々に遮られる事なく月の光が降り注いでいた。 女性の姿が薄明かりに照らされ、頭の後ろ、やや上で結ばれているツインテールの銀色の髪が、風になびいて輝いている。 顔は整っているが綺麗というよりは可愛らしいといった感じ、瞳は吸い込まれそうな深い真紅、肌は正に透き通る様に白い。 黒く、丈の長い、襟が立った様な形のマントを纏っているので、服装までは判らない。 「……ん?音が近づいてくる。そういえば何の音なのかしら、ちょっと気になるわね」 女性は、先程までは割りと遠くに聞こえていた物音が、自分に向かって物凄い勢いで近付いてくるのに気付き、立ち止まった。 そして音の元に興味津々で目を輝かせる。 音源である何者かは、メキメキと枝を減し折り木を倒し、右斜め前方から急接近してくる。 そして……! ――ガサガサッ! 女性のすぐ右の繁みから、右斜め前方から聞こえる音の主とは違う何かが勢い良く飛び出してきた。
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