111人が本棚に入れています
本棚に追加
「!!」
女性は轟音の主に完全に気を取られており、右の繁みから何かが近付いていた事に気付き振り向いた時には……
目の前には、驚いた男の顔。
ちょっとカッコイイかも。
いやいや、そんな事を考えてる場合ではない。
「えええええええ!!?」
「うおおおおああ!!!」
お互いは突然目の前に現れた存在に為す術なく、男は繁みに突っ込んだそのままの勢いで、女性諸共その場に雪崩れ込んでしまい……
――むちゅっ。
「「……んむっ?」」
…………!!!
「……い……やあああああっ!!!」
「!!?」
男は下にいた女性に盛大に蹴り上げられた。
そして男は両手で口を押さえて、ゴロゴロと転げ回って痛がっている。女性に舌先を噛まれたらしい。
むちゅっ。そう、倒れた時に偶然、唇が重なってしまったのだ。
だがそれは飽くまで偶然で、それだけでは女性も男の舌を噛んだりしなかっただろう。
「この……!何どさくさに紛れて舌なんか入れてんのよ!」
女性は立ち上がり、うずくまって悶絶している男に罵声を浴びせる。……この男、最低だな。
最初のコメントを投稿しよう!