第一夜

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「!!」 女性は轟音の主に完全に気を取られており、右の繁みから何かが近付いていた事に気付き振り向いた時には…… 目の前には、驚いた男の顔。 ちょっとカッコイイかも。 いやいや、そんな事を考えてる場合ではない。 「えええええええ!!?」 「うおおおおああ!!!」 お互いは突然目の前に現れた存在に為す術なく、男は繁みに突っ込んだそのままの勢いで、女性諸共その場に雪崩れ込んでしまい…… ――むちゅっ。 「「……んむっ?」」 …………!!! 「……い……やあああああっ!!!」 「!!?」 男は下にいた女性に盛大に蹴り上げられた。 そして男は両手で口を押さえて、ゴロゴロと転げ回って痛がっている。女性に舌先を噛まれたらしい。 むちゅっ。そう、倒れた時に偶然、唇が重なってしまったのだ。 だがそれは飽くまで偶然で、それだけでは女性も男の舌を噛んだりしなかっただろう。 「この……!何どさくさに紛れて舌なんか入れてんのよ!」 女性は立ち上がり、うずくまって悶絶している男に罵声を浴びせる。……この男、最低だな。
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