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彼女の目は、右目が紅く左目が金色のオッドアイだ。
その目は少し空ろで、明らかに当分眠っていない者の疲れた眼差しだった。
「……メイス、様?」
「はい。おはようございます。これで一週間も眠っていないことになりますね。仕事熱心なのは感心しますが、ちゃんと食事と睡眠をしなくては体を壊してしまいますよ? まだ貴女は十六なのですから、自分の体にもっと気を使いなさい」
メイスに諭されたミオは、申し訳なさそうに目線を落したが、すぐに目の前の大鏡に向き直ってハッキリと彼に言う。
「お気遣いは、感謝します。ですが、私には休んでいる暇なんて無いのです。一刻も早くあの方を見つけなければいけないのですから」
「……確かに、そうですね。我々には時間がありません。ミオ、くれぐれも体調に気をつけながら頑張ってください。これは……君にしか出来ないことなのです」
「はい。必ず見つけてみせます。私たちの、救世主様を――」
ミオは再び目を閉じて瞑想を始め、メイスは透き通るような鏡の表面に映る自分を見つめた。
――この鏡の先に、我々の希望が生きている。かの予言が真実ならば、必ずこの鏡の向こうから彼がやってくるでしょう。一体……我らの救世主はどのような御仁(ゴジン)なのでしょうね…………。
不安と期待に満ちた目で鏡を見つめるメイスは心の中で呟き、しばらくその場に留まって鏡の様子を静かに見守り、静かに踵を返して鏡の間から出て行った。
すると、瞑想を再開し始めたミオが突然目を大きく開いて顔を上げ、少しよろめきながら立ち上がるとすぐに扉の向こうへ去っていったメイスを追いかけた。
無人となった鏡の間が、再び静寂に包まれた…………。
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