第11章 潮風に吹かれて

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 向き合う形でソファー座った弘樹とキヌアが自己紹介をすると、領主も自分の名前を告げた。 「申し遅れました。私が、このアドラスを管理している、アメハメハと申します」  ――どこかの大王様のようなお名前ですね!  と、弘樹は内心叫んだ。  兎にも角にも弘樹はアメハメハ氏に、シクルスからの親書を差し出した。  改めて見ると、親書が入れられた筒は何処か卒業証書の入れ物を連想させる。 「では、拝見させて頂きます」  蓋を開けるときにポンッという音が鳴ると、益々そう思えてきた。  しかし、親書を読んでいくアメハメハの表情が険しくなると、弘樹もふざけた考えをすぐに止める。  読み終えたアメハメハは、深く息を吐いて親書を丁寧に机に置いた。 「では……もはやブレストとの戦は避けられない、と」 「シクルスやメイスさんは、そう言っています」 「そうですか……承知しました。遠路ご苦労様でした。陛下に、くれぐれも宜しくお伝えください。  さあ、長旅でお疲れのことでしょう。今宵はこの屋敷にて、ごゆっくりとお休みください」 「ありがとうございます」  ちょうど昼食時だったので、早速弘樹たちはシーナの料理をご馳走になった。  出てきたのは主に魚料理。  どれも美味く、弘樹たちは満足した。  だが、その席にアメハメハは居なかった。 「領主様は、どこに行ったんですか?」  キヌアの問いにシーナが答える。 「お父さん……最近からだの調子が良くないの。だから、結構ベッドで寝てることが多いの。ところでさ、ご飯を食べたら、皆で海に行かない? 今なら泳ぐと気持ちいいよ?」 「ああ、確かに。ここって海が綺麗だし、いいかもしれない。キヌアはどうする?」 「えっと……い、行きます」  一瞬キヌアが顔を歪ませたような気がしたが、気のせいだろうか?  ともあれ弘樹たち三人は、シーナに引率されて島の北側にある真っ白な砂浜に向かった。  海はどこまでも青く透き通っており、泳げばさぞ気持ちがいいだろう。  しかし肝心の水着が無い。
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