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「シーナ、海パンってあるの?」
「カイパン? ああ、水着のこと? この島の男の子は、泳ぐときは皆下着だよ? 女の子はちゃんと着替えるけどね」
「なるほど。じゃあ、今穿いてる下着でいいか。ちょうどトランクス風だし」
言い忘れていたのだが、この世界の男物の下着は、殆ど弘樹の世界のトランクスと変わらない。
色が派手か地味かの違いがあるだけだ。
女子は浜の近くの茂みで着替えを始め、弘樹は浜で服を脱いでいく。
――そういえば、泳ぐのも久しぶりだなぁ。うちの高校ってプール無かったし、クロスロックのときは、泳ぐというよりは流されたし。
まさか、キヌアはまだ人が飛べるとでも思ってるんじゃないだろうな? あれは間違いなく落ちていたのに……。
そうこう考えているうちに脱衣を済ませた弘樹は、女子が出てくるまで浜に座って待つ。
一瞬脳裏に二人のあらぬ姿が浮かんだが、すぐに首を振ってかき消した。
五分ほどで女子が茂みから出てきた。
シーナは真っ赤なビキニで、キヌアは黄色いスクール水着風。
二人の姿を見た瞬間、弘樹は胸が高鳴るのを感じた。
――なんだ……この胸がドキドキというか、高鳴るのは。
もしや……これが世間で色々と言われていた、萌えというやつか?
落ち着け弘樹。
別に驚くことはないじゃないか。平然としろ。
「へぇ、二人ともよく似合ってるじゃん」
「ありがと。さ、泳ご!」
シーナが海の中へ駆けて行き、弘樹も続いて海に足を踏み入れた。
透き通った海水は冷たく、最初は腕に鳥肌が立ったが、すぐに体がなれて非常に気持ちよくなった。
ためしに顔を浸けてみると、真っ白な海底に美しい小魚たちが泳ぎまわっている。
少し沖に出れば、珊瑚の森もあった。
暫し潜水を続けた弘樹は、海面に顔を出して息を吸う。
「ぷはっ! 最高!」
「でしょ? 今夜は貝料理だよ~」
シーナを見ると、その手に持たれた網には、大小様々な貝類や海老などが入っている。
どうやら漁をしていたらしい。
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