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船員たちは迫り来る死に恐怖している。
左右からざわざわと弱音が聞こえてくるので、ギルドは船員たちを一喝する。
「黙ってろ! 大の男がグダグダ抜かすな!!
オレたちは海賊……常に死と隣り合わせなのは覚悟してただろうが。
今更、みっともないことを言うんじゃねぇ」
「なんで兄貴は逃げないんですか! 兄貴の力があれば、こんな檻なんぞ簡単に……」
「いいから黙ってろ。案外助かるかもしれないぜ?
まあ、絞首台か大海原かは知らんが、目が覚めるまで寝ようじゃねぇか」
その後、ギルドの牢から高いびきが聞こえてきた。
ギルドのどこか自信のある言葉に困惑する船員たちだったが、ここは船長を信じてみようと皆眠りについた。
牢の中には、天井から落ちる水滴の音が響いていた……。
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