第11章 潮風に吹かれて

13/18

9515人が本棚に入れています
本棚に追加
/908ページ
 さてさて、ここからが至難の業だ。 「ギルド、船には結構見張りがいるぞ? どうするんだ?」 「船を捨てるわけにはいかねぇ。あれはオレたちの家だ。任せろ、オレに考えがある」  含みのある笑いを浮かばせながらギルドは地上に出た。  すると、茂みの中に倒れていた見張りを見つけて、ギルドは声を引きつらせる。 「おいおい……これじゃお前らも賊と変わらねぇぞ? とくにこの鼻血出してぶっ倒れてる奴……賊のオレから見てもひでぇもんだ。どっちがやった?」 「コイツ」  弘樹はすぐ後ろに控えていたキヌアの顔を指した。 「あぁ、なるほどな」 「なんですか! その笑いは!」 「へっ、何でもねぇよ。ほいじゃぁ、船を返してもらうか」  ギルドはおもむろに手を高く掲げ、一瞬にしてウィンディルグを取り出した。  どうも嫌な予感がする。  まさかとは思うが……。 「ギルド……何をするつもりだ?」 「なぁに、ちょいと無人の倉庫を吹っ飛ばして見張りの数を減らし、後は数で押し切るっていう完璧な作戦だぜ」 「どこが完璧だ! 色々と問題があるだろ!」 「悪いが、賊は破壊行為も日常茶飯事なんだよ! おら、吹っ飛べ!」  風が纏うウィンディルグが港の倉庫に向かって投擲され、次の瞬間には凄まじい轟音と共に倉庫が砕け散った。  当然、見張りに出ていた男たちは破壊された倉庫に向かい、その隙にギルドたちは船に向かっていく。  自分たちも続くべきかどうか迷ったが、自然と体がギルドの後についていた。  甲板に残っている見張りは四人。  対してこちらは三十人弱……余裕ではあるが、果たしてこれでよかったのだろうか?
/908ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9515人が本棚に入れています
本棚に追加