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さてさて、ここからが至難の業だ。
「ギルド、船には結構見張りがいるぞ? どうするんだ?」
「船を捨てるわけにはいかねぇ。あれはオレたちの家だ。任せろ、オレに考えがある」
含みのある笑いを浮かばせながらギルドは地上に出た。
すると、茂みの中に倒れていた見張りを見つけて、ギルドは声を引きつらせる。
「おいおい……これじゃお前らも賊と変わらねぇぞ? とくにこの鼻血出してぶっ倒れてる奴……賊のオレから見てもひでぇもんだ。どっちがやった?」
「コイツ」
弘樹はすぐ後ろに控えていたキヌアの顔を指した。
「あぁ、なるほどな」
「なんですか! その笑いは!」
「へっ、何でもねぇよ。ほいじゃぁ、船を返してもらうか」
ギルドはおもむろに手を高く掲げ、一瞬にしてウィンディルグを取り出した。
どうも嫌な予感がする。
まさかとは思うが……。
「ギルド……何をするつもりだ?」
「なぁに、ちょいと無人の倉庫を吹っ飛ばして見張りの数を減らし、後は数で押し切るっていう完璧な作戦だぜ」
「どこが完璧だ! 色々と問題があるだろ!」
「悪いが、賊は破壊行為も日常茶飯事なんだよ! おら、吹っ飛べ!」
風が纏うウィンディルグが港の倉庫に向かって投擲され、次の瞬間には凄まじい轟音と共に倉庫が砕け散った。
当然、見張りに出ていた男たちは破壊された倉庫に向かい、その隙にギルドたちは船に向かっていく。
自分たちも続くべきかどうか迷ったが、自然と体がギルドの後についていた。
甲板に残っている見張りは四人。
対してこちらは三十人弱……余裕ではあるが、果たしてこれでよかったのだろうか?
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