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確かに、顔は笑っているが雰囲気は少し重く、本当に反省しているようだ。
するとキヌアが口を開いた。
「……反省してるなら、わたしはもういいです。弘樹さんも、大丈夫ですよね?」
「ああ。俺も、もう言ったりしない」
「ありがとよ。にしても、お前らには借りが出来ちまった。
さて、どうやって返したもんかねぇ……と、一晩考えたんだが、ここで一つ提案がある」
ギルドは膝に手を当てて身を乗り出して言った。
「これからブレストと戦が始まるんだろ? そうすると、オレたちの商売もかなりやり難くなっちまう。
そこで、だ。
とっとと下らねぇ戦が終わるよう、このオレさまがお前らに協力してやろう」
「……つまり、仲間になってくれるってことか?」
「おう! オレも、いつまでもお前らに借りを作ったままだと気持ちよく眠れん。それともオレだと、不満か?」
不満なわけがない。ギルドが仲間になってくれるのなら、これほど頼りになることはないだろう。
海賊とはいえ、カルナインにとっても重要な戦力となりえる。
しかし、ギルドには大切な仲間たちがいる。
彼らには……ちゃんと話したのだろうか?
「不満は無いよ。ギルドが仲間になってくれるなら心強い。でも、お前の仲間には話したのか?」
「ああ。たく、どいつもこいつも、オレに行くなって言いやがってなぁ。説得するのに徹夜しちまった。
だが、最後にはちゃんと聞き分けてくれたぜ。さてと、それじゃ早速行くとするか」
勢いをつけてイスから立ち上がったギルドは、扉を開けてさっさと船を下りていった。
その後をすぐに弘樹たちが追いかけ、第八停留所から出て行こうとしたとき、ギルドの後頭部に小さな袋が投げられた。
「って!」
袋が当たった後頭部を擦りながら振り向くと、そこには船員一同が整列している。
「お前ら、なんのつもりだ?」
ギルドが凄みを含んで言うと、船員の中の一人が照れくさそうに言った。
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