第11章 潮風に吹かれて

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 確かに、顔は笑っているが雰囲気は少し重く、本当に反省しているようだ。  するとキヌアが口を開いた。 「……反省してるなら、わたしはもういいです。弘樹さんも、大丈夫ですよね?」 「ああ。俺も、もう言ったりしない」 「ありがとよ。にしても、お前らには借りが出来ちまった。  さて、どうやって返したもんかねぇ……と、一晩考えたんだが、ここで一つ提案がある」  ギルドは膝に手を当てて身を乗り出して言った。 「これからブレストと戦が始まるんだろ? そうすると、オレたちの商売もかなりやり難くなっちまう。  そこで、だ。  とっとと下らねぇ戦が終わるよう、このオレさまがお前らに協力してやろう」 「……つまり、仲間になってくれるってことか?」 「おう! オレも、いつまでもお前らに借りを作ったままだと気持ちよく眠れん。それともオレだと、不満か?」  不満なわけがない。ギルドが仲間になってくれるのなら、これほど頼りになることはないだろう。  海賊とはいえ、カルナインにとっても重要な戦力となりえる。  しかし、ギルドには大切な仲間たちがいる。  彼らには……ちゃんと話したのだろうか? 「不満は無いよ。ギルドが仲間になってくれるなら心強い。でも、お前の仲間には話したのか?」 「ああ。たく、どいつもこいつも、オレに行くなって言いやがってなぁ。説得するのに徹夜しちまった。  だが、最後にはちゃんと聞き分けてくれたぜ。さてと、それじゃ早速行くとするか」  勢いをつけてイスから立ち上がったギルドは、扉を開けてさっさと船を下りていった。  その後をすぐに弘樹たちが追いかけ、第八停留所から出て行こうとしたとき、ギルドの後頭部に小さな袋が投げられた。 「って!」  袋が当たった後頭部を擦りながら振り向くと、そこには船員一同が整列している。 「お前ら、なんのつもりだ?」  ギルドが凄みを含んで言うと、船員の中の一人が照れくさそうに言った。
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