第13章 帰還

2/19
前へ
/908ページ
次へ
 新たにギルドを仲間に加えた弘樹たちは、苦戦を強いられたクロスロックに差し掛かっていた。  目の前には焦げ茶色の山肌が聳え立っており、弘樹とキヌアは生唾を飲み込む。  またあの辛い道のりを行くのか……と。  だが、幾ら溜息を吐いたところで仕方が無いので、弘樹たちは旅人用に一応整備された山道を登っていく。  あまりペースを上げては疲れてしまう上に、特にキヌアは体が弱いので、所々休憩を入れていく。 「はぁ……疲れました」 「了解。ギルド、休憩しよう」 「あいよ。しっかし、殺風景なもんだな。まあ、水平線を眺めるのとあまり変わらんが」  ギルドは聳え立つ山々の頂を眺めながら、口に咥えた煙管から煙を立ち昇らせる。  よく考えてみれば、ギルドは結構喫煙している。  まあ、煙草の煙は苦手ではないので問題は無いのだが、あまり吸いすぎては体に悪い。 「ギルド、あまり煙草を吸ってると体を壊すぞ?」 「まあ、分かってるんだけどよ……これが止められないんだよな。お前ら吸うなよ? 絶対にハマっちまうからよ」 「まあ、吸うことは無いと思うよ。酒も……弱いし」 「なに!? 酒が弱いだと? お前、それって人生の半分は損をしてるぜ?」 「そうなのか?」 「ああ! 酒は体の中を清めてくれるだけでなく、飯を数倍美味くしてくれるんだぜ?」  と、ギルドは自信のある笑みを浮かべて腕を組んだ。  出会ってからまだ数日しか経っていないが、ギルドはかなり男らしい奴だと思う。  たまにメチャクチャをするが、話もかなり通じるし、やはりそこらのチンピラとは訳が違うようだ。  左目の眼帯が恐ろしげだが……。
/908ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9515人が本棚に入れています
本棚に追加