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翌日の朝、弘樹たちは早々にキャンプを片付けて出発した。
早朝は霧が出ているので歩くのは危険だが、あまり時間も無いので、弘樹の炎を目印に三人は進んでいく。
山の空気は少々薄いが、それだけに新鮮であった。
徐々に朝霧の合間から太陽の金色の光が差し込み始め、視界が開けていく。
他の旅人の姿は見えない。
そもそも、この大山脈を通って旅をする者自体が少ないのだから当たり前だ。
弘樹は歩きながら、久しく会っていないカルリースの人々のことを想った。
――ミオはあれから元気にしているだろうか?
少しは、人と接してくれるようになったのならいいけど。
料理長の飯が恋しいなぁ。
流石に焼肉だけの生活はキツイ……。
メイスさんにも、まだまだ教えて欲しいことがあるし、師匠とも組み手をしたいな。
早く帰りたいものだ。
考えながら歩いていると、ようやく下り坂になった。
これで一つ目の山を越えたことになる。
しかし、まだ目の前には別の山がそびえている。
あとこれを何回繰り返すのかは知らないが、弘樹たちは雑談を交えて進んでいった……。
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