第20章 華の帝都

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  「彼が貴女を選んだのなら、もう私に入り込む資格は無い……でも、私にとって、彼だけが私に幸せを感じさせてくれるの。 彼は私の全てよ。だから、これからも、私は彼の傍に居続ける。いざというときは私が彼を守るわ。だから……貴女は彼を癒してあげて。きっとこれから先も彼の戦いは続くわ。私では……きっと役不足でしょう。だから、貴女が彼の心を照らしてあげて。いい?」 「は、はい!」  かつての恋敵の言葉にキヌアは少し必死になって頷いた。  かくいうミオも、よほどの覚悟を抱いて言ったことだろう。 「そう……それなら、安心だわ」  キヌアの目を見つめながら、ミオは安堵しきった笑みを浮かべた。その笑みにキヌアは胸の奥が熱くなり、目の端に涙を浮かべる。  本当はミオに謝りたかった。  彼女がどれほど弘樹のことを愛していたか……どれほど、自分と同じように彼と接したかったか……それを考えると、まるで自分が彼女の大切なものを盗んでしまったように思えてしまい、罪悪感が胸の中に渦巻いた。  すると、急にミオが近づいてきて、大きく腕を広げてキヌアを優しく抱きしめた。 「何で嘆くことがあるというの? 貴女は好きな人をものにしたのだから、もっと喜ぶべきだわ」 「でも……それだと、ミオさんが……」 「私のことはいいの。彼がいなければ、あのままずっと他人を避けて地下で暮らしていたでしょうから……それに、貴女は私の大切な友人だもの。さあ、彼を待たせてはいけないわ。行きましょう」  優雅に銀の髪を揺らしながら、ミオは店の表へと出て行き、キヌアもすぐに追いかけた。  その顔には、嬉しくも悲しげな、誠に複雑な表情が浮かんでいた……。  四人はその後、割と明るい雰囲気で存分に祭りを楽しんだのであった。
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