第22章 苦い酒

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 午後になり、昼食を御馳走になった弘樹達は、せめてもの恩返しということで野営地の見回りと警護をすることになった。  ギルドの看病にキヌアとミオがつき、ルピスと弘樹がテントの外に出て、適当に野営地の中を歩き回る。  先ほど見た子供たちは、さらに人数を増やして鬼ごっこをしているようだった。 「やっほ! みんな、元気?」  ルピスが子供たちに話しかけると、彼らはルピスのことを指さして叫ぶ。 「あ! みんな逃げろ! 笑う津波が来たぞ!!」 「う、うわぁああ!!」  子供たちは一目散に逃げていき、ルピスは頬を膨らませて子供たちの背に向けて叫ぶ。 「こらぁ! 人のことを変なあだ名で呼ぶなぁーッ! あっはっはっはっは!!」  怒っているのか笑っているのか……少なくとも、まんざらではないようだ。 「笑う津波か……言いえて妙だな」  つい口から漏らしてしまった弘樹。 「ああ! ヒロキまでそんな風に言ってぇ! じゃあ、私も今度からヒロキのことは、ヒロピーって呼ぶからね!」 「それは勘弁願いたいな……」  苦笑いを浮かべつつ、弘樹達はテント群から離れて、灼熱の砂漠へと乗り出した。  熱風が吹き荒れ、強烈な日光が降り注ぐ砂漠は、何度見ても殺風景で乾ききっている不毛の大地だ。  そんな土地で暮らすルピス達の苦労は計り知れない。 「う~ん! 今日もいい天気だなぁ!」 「ルピスって、本当に元気だな」 「うん! だって、元気な方がいいじゃない! 楽しいし、悪いことなんて何もないから笑っている方が絶対にいいと思う! だから、ヒロキも笑いなよ!」  躍るような足取りで笑顔を振りまくルピスを見て、弘樹は軽く微笑んでみたのだが、どうやらお気に召さなかったらしい。 「そんな笑いじゃ駄目だよ! ほら、笑え!!」  ルピスは両手を伸ばし、突然弘樹の脇腹をくすぐり始めた。
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