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これには弘樹も耐えきれずに爆笑する。
「うはははは! ちょ、やめ、あはははは!!」
腹筋が捻じれる思いがし、目から涙が溢れ返った。
五分間もの間笑い続けた弘樹は、激しく息を切らして肺いっぱいに酸素を取り込む。
「はぁ……はぁ……強烈だ……」
「あはは! でも笑うと楽しいでしょ! さあ、見回りを続けよう!」
それから一時間ほど見回ったのだが、どうやら砂賊の襲撃は無いようだ。
テントに戻ると、ちょうどミオがギルドの額に乗った濡れた手拭いを取り換えているところだった。
ちょこんと正座をしているのが、妙に似合っている。
これで巫女服ならば尚更なのだが、着替えの中に巫女服は……実はあったりする。
とはいえ、さすがに巫女服では歩きにくいということで、今は淡い緑の私服を着ているのであった。
「あら、おかえりなさい」
「ただいま! ミオミオ!」
「……ミオミオ、ですって?」
妙な呼ばれ方をして、ミオは訝しげな目線をルピスに飛ばした。
もともと名前以外の愛称が無かったので、少し困惑しているのだろう。
「変な呼び方はしないでくれる? 名前が長くなっているわ」
「え~!! ただ名前を呼ぶだけなんてつまらないよ! それに、ミオミオの方が可愛いってば!」
「……私は、可愛いなんて柄じゃないわ。あと、貴女、うるさいわ。病人がいるのだから静かにして」
「……はぁい」
ミオの鋭い目線と冷たい口調に、ルピスはすごすごと引き下がる。
幾分か性格が開放的になったとはいえ、まだまだ、毒舌聖女は健在な様子であった。
「むぅ……ミオミオは怖いなぁ」
「前よりずっとマシだけどね。俺ってベッド投げられたし」
「ええ!? ミオミオ……恐ろしい子!」
彼女に聞こえないように吐息混じりで耳打ちをしていたのだが、ふとミオに目を向けると、彼女は弘樹達に冷たい目線を送っていた……。
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