第23章 奈落の神殿

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 また、水と食料もそれほど残っていないので、ぐずぐずは出来ない。  あまりいい考えが浮かんでこないので、気分転換に少し雑談を交わすことにした。 「何だかんだ言って、実はギルドってルピスのことが心配だったんだろ?」 「いい女だからな。死なせるには、勿体ないと思っただけだ」 「どうやって来たんですか? 結構、距離がありましたけど」 「飛んできたんだよ。文字どおりな。風の力を使えば、容易いぜ。にしても、あの門はどうなったんだ? 派手にぶっ壊れていたが?」  全員の視線が、ミオに注がれる。 「……だと思ったぜ」 「なによ、失礼ね。仕方が無かったの」  頬を微かに紅くして、ミオは皆から顔を背けた。  たしかに滅茶苦茶ではあったが、彼女のお陰で砦に入れたのだから笑うことはできない。  それに……また頼ることになりそうだ。  ルピスの方も難航している様子。文字は理解できるのだが、何分、文章の言い回しが古いので、どう訳せばいいのか分からない。 「ぶぅ~、古代の人ってなんでこんなややこしい言い回しをするかなぁ」  頬を膨らまし、腰に手を当てて解読を進めるルピス。  何だかんだで古代文字を辞書も無しで解読できるあたり、実は頭がいいのかもしれない。 「あれ? どこまで訳したっけ!?」  そうでもないのかもしれない。  三十分後……結局何の良案も浮かばないまま、時が過ぎた。  しかし、ルピスの方はかなり作業が進んだようだ。 「みんなぁ! 解読できたよ!」  全員がルピスの周りに集まり、一度咳払いをしながらルピスは朗読を再開した。 「光の神は、世界の素を司る四つの守護者を生み出した。守護者たちは、光明の世界に生きる者たちに恩恵と試練をもたらした。  世界が闇で満たされた時、守護者たちは神の命によって現世へ現れたという。だが忘れてはならぬことが一つある。  それは、世界を闇で覆った暗黒の使徒ゲオルギアもまた、守護者の一つであるということだ。光があるところに闇がある。ゲオルギアは光の勢力に対抗するため、闇の獣と騎士を生み出し――」  そこまででルピスは朗読をやめた。
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