第23章 奈落の神殿

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 その後に、キヌア、ミオ、ギルド、ルピスと続く。  通路は百メートルほどだった。  進んだ先には、イスカリオンが封じられていた祭壇の間と同じような造りの、四角い部屋が広がっていた。  しかし、そこに剣も無ければ、神聖な物も無かった。  あるのは……巨大な獣の亡骸だった。  大きさは森の番人であるティガルに匹敵し、体は黒く、頭はオオカミだがライオンのような鬣が生え、四肢は太く爪は鋭い。そして、尾の先端には鋭い棘が生えていた。  ティガルはまだ虎と分かるが、この生物は何と表現すればいいのか分からない。  そう……まさに怪物だった。魔獣といっても差支えない。その獣は、壁に描かれていた黒い獣とよく似ている。  異常な気配は、その獣から放たれていた。  といっても、その気配も驚きも、獣から放たれている悪臭で掻き消されていたが。 「酷い臭いね……鼻が曲がりそう……」 「ふぇ~、臭いですぅ……」  鼻を摘まみ、それでも臭いが消せないのでキヌアは弘樹のマントの中に隠れた。 「キヌア……抱き締めないでくれ」 「だって、ヒロキさんっていい匂いなんですもん」  背中に頬ずりをするキヌアを離し、眼前の獣を見つめた。 「たくっ、なんだよ、こいつは……」  ギルドがウィンディルグを取りだし、柄の先端で獣を突いた。 「流石に……生きてないよね?」 「そう願いたいもんだ。こいつが動き出したら、厄介だぜ……」  いくらか弄ってみたが、どうやら完全に息絶えているようだ。 「この世界には、こんな動物がいるのか?」  念のために弘樹が聞くと、全員が首を横に振った。 「じゃあ、こいつは一体……?」 「分からんが、いつまでもここにいたら鼻がおかしくなる。向こうから風を感じるぜ。地上につながっているかもしれねぇ」  ギルドは風が漏れている壁を見つけ、足に風を纏わせて蹴ると、壁が壊れて涼しい風が流れ込んできた。
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