第24章 漆黒の剣士

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 と、ヴェルドはヒュウガの穏やかな顔を見上げながら思った。 「ヴェルド、レオン、強さとは何だと思う?」 「剣の腕前!」 「圧倒的な力!」  二人はほぼ同時に答え、ヒュウガは声を上げて笑い転げる。 「はっはっはっはっは! 流石は兄弟。息がぴったりだね。でも、二人とも百点満点でいうと五十点だ。半分は正しい。剣技や力は、確かに強さだ。でもそれだけでは真の強さとは言えない」 「じゃあ、なんなのさ?」  ヴェルドの問いに、ヒュウガは指先を二人の胸に突き付けて答えた。 「心だよ。何者にも屈しない、強い信念だ。相手の刃を畏れぬ勇気だ。そして、いかなる困難をも乗り越えられる冷静な判断。これらが合わさった時、剣は自ずと強くなる」 「……かぁ! お師匠様が言うことは、難しいなぁ」 「今は難しく聞こえるかもしれないけど、すぐに分かるようになるよ。剣だけじゃない。弓矢にも言えることなんだよ、リン!」 「は、はぁい!」  家の中で皿洗いをしていたリンは慌てて答えた。  三人は大いに笑い、ふくれっ面を浮かべるリンを眺めながら、修行を再開した……。  日が暮れる頃……剣を握るヴェルドとレオンは、散々に打ち負かされてぼろぼろになっていた。体の至る所に土がつき、全身は汗にまみれ、手には血豆が幾つも出来あがっている。 「今日はここまで。御苦労さま」 『おわったぁ~!』  ヒュウガが月牙を仕舞うと、ヴェルドもレオンも大の字になって地面に倒れ込んだ。 「ぜぇ……ぜぇ……ほんま……ぜぇ……お師匠様は、強いなぁ」 「大丈夫。レオンも、そのうち強くなれるよ。さあ、二人とも起きなさい。夕飯にしよう」  途端に二人は飛び起きて、家の中へ駆け込んでいった。
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