9515人が本棚に入れています
本棚に追加
/908ページ
甲高い音が辺りに響き渡り、男たちが屋根の上を見上げるのと同時にリンは引っこんだ。
笛の音はしばらく木霊していたので、これでヒュウガが駆け付けるだろう。
だが、男たちはリンがヒュウガを呼んだことでかなり焦り始め、二人係りで扉を蹴り始めた。
すぐには破れないだろうが、時間の問題だ。
ヴェルドとレオンは家の中に置かれている剣を握り、リンは自前の弓矢を構えて、敵の突破に備えた。
扉が激しく揺れ、男たちの荒々しい息遣いが聞こえる……。
「くるぞ……」
ヴェルドが呟いた瞬間、扉が蹴破られてナイフを持った男たちが押し入ってきた。
瞬時にリンが渾身の矢を放って一人を仕留め、マキビシを踏んで混乱した男たちをヴェルドとレオンが一人ずつ倒して外に出た。
本来なら狭い場所の方が有利なのだが、相手はナイフ使いなので、逆に剣では不利となる。
外に出て分かったのは、敵の数はざっと数えても三十人以上……。
腕前はどれほどか分からないが、ヴェルドたちはヒュウガの弟子という自信があり、油断しないように相手を睨みつけながら背中合わせで剣を構えた。
遠くで雷鳴が聞こえる……。
男たちは相手が子供三人だと分かると、余裕の笑みを浮かべてナイフを泳がせている。
「これはこれは、子供は寝る時間だぜ? 危ないもの振りまわしてないで、大人しくしていろ」
「ただし、二本の銘刀の在り処は教えてもらうがな。さもなくば――」
ナイフの先端を見つめながら話していた男の喉に矢が刺さり、鮮血を噴き出しながら地面に沈んだ。
「このガキ! もういい、やっちまえ!」
落雷と共に男たちはヴェルドとレオンに襲いかかる!
二人は巧みに剣を操って男たちが繰り出してくるナイフを捌き、隙あらば蜂の如き鋭い一撃を加えていく。
最初のコメントを投稿しよう!