第24章 漆黒の剣士

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 子供とはいえ侮れないと悟った男たちは、今度は二人一組になって襲いかかった。  ただでさえ小回りが利くナイフが、一気に四本も襲いかかってきたのでは堪らない。  何とか致命傷は避けるために必死で防いでいると、男たちはヴェルドたちの目を盗んでリンを突き飛ばし、家の中に踏み込んだ。 「しまった!」  尻もちをついたリンは、すぐに男たちを追いかけた。  敵の目当ては月牙と陽牙だが、今はヒュウガが持ち出しているので心配ない。  ならば敵を振り払って森に逃げ込めばいいのだが、リンたちは自分たちの家が汚されるのが嫌だった。  それがどれほど愚かだとも知らずに……。  リンが男たちを追ったこととは知らず、ヴェルドとレオンがひたすらに敵と戦っていると、二階の窓が大きく開かれて、男たちが見せつけるように拘束されたリンを掲げた。 「おい、小僧ども! このお嬢さんがどうなってもいいのか?」 「なに!?」  二人が二階を見上げると、口を塞がれてもがいているリンが目に入った。 「こんの、卑怯者が!」  レオンが怒声をあげるが、男たちは笑みを浮かべるだけ……。 「このお嬢さんの命が惜しければ、大人しく剣を捨てろ。さもないと、真っ赤な花が咲くぜ?」  ナイフがリンの喉元に突き付けられ、彼女の目に恐怖と涙が浮かんだ。  漆黒の天から雨が降り注ぎ、ヴェルドたちを濡らしていく……。  また、激しい稲光が夜空に走り、雷が怖いレオンは足を震わせた。 「おい、しっかりしろよ!」 「せ、せやかて……ひぃ!」  近くの大木に雷が落ち、レオンはいよいよ恐ろしくなって身を屈めた。  そのとき、闇に包まれた森から紅い閃光が走り、一瞬にして捉えられていたリンが敵の手中から解き放たれた。  二階から落下するリンを受け止めたのは、他ならぬヒュウガであった。
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