1st Stage

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(なのに…!) 「…ょー」 近い。 近すぎる。 「涼ー」 これじゃあ心臓が持つかどうか… いや、絶対持たない… 「…っていい加減気付けっ!」 「うわぁっ!」 すぐ近くで大声を出されて、僕は飛び上がった。 慌てて振り向くと、そこには女の子が立っていた。 「な…んだ…スズか…」 「なんだって何よ! それに、<スズ>って呼ぶのやめてって言ったでしょ?」 伊永 美鈴(いなが みすず)。 幼なじみってやつで、家が近所のせいか昔から仲がよかった。 <スズ>って言うのは美鈴の愛称なんだけど、いつからかこうやって訂正されるようになった。 そうやって呼んでたのは僕だけだったせいもあると思うけど。 「涼が孤立してんじゃないかー、って見に来てあげたのに、その態度は何よ!」 困ってる人はほっとけない子で、ここんとこは前以上に怒りっぽい。 「ごめん…スズ…」 「男のくせにすぐ謝るなっ! それにスズって呼ぶなっ!」 最近はいっつもこんなやり取りばっかしてる。 「涼はこれだからいっつも…」 「あのさ、そろそろチャイム鳴るよ?」 「へ?あ、ホントだ。あたし一体何やってんだろ!」 「………ありがと、スズ」 教室から出ようとしていた美鈴が、ぴたって動きを止めた。 そしてこっちを見ると、 「べーーだっ」 バタバタ、美鈴が廊下を走っていく。 美鈴と話してるうちにドキドキもおさまった。 美鈴には感謝しなきゃね。  
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