*1段*

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その人は直ぐにグラスを取ると一気にビールを飲み干した。 呆気に取られたまま、その人のグラスを空ける横顔を見ていた。 ゴクゴクと喉を鳴らし、その度に喉が上下する… やっぱり、この人 素敵だわ。 『佐伯さん、すみません。』 私の代わりにアナタ何者?さんがお礼を言ってる。 『あ、すみません。ありがとうございます。』 『どういたしまして。飲めないんだね?無理して飲まなくっていいからね。』 眼鏡の中では涼しげな瞳が微笑んでいる。 『は、はい…』 顔が赤くなるのが自分でも判った。 口調まで素敵だよ。 「佐伯さん」って言うんだ。  
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